こんにちは、宮地梓です。
ASEANコラム第2弾!今回は、宗教とバリ・ヒンドゥー教についてお話します。
インドネシアでは宗教的生活が必要不可欠…。主人の家に嫁ぎ、バリ島で20年以上生活していますが、1番苦労したのが宗教生活でした。
インドネシアに旅行に来られる方も、移住を検討されている方にも、ぜひインドネシアの基礎知識として読んでいただきたいです。
(vol.1「インドネシア移住」はこちら)
バリ島民の39万2,400人ほどが、バリ・ヒンドゥー教の信徒で、これは世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアにおいては、1.6%程度になります。
インドネシアは、信仰の自由が保障されていますが、無神論は違法になります。ですので、国民は、イスラム教、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、儒教、などのどれかに属して、それをアイデンティティーカードや戸籍に表記しなければなりません。
私は、バリ人と結婚する時に、インドネシアの宗教省にて書類上、改宗の手続きをし、それからバリ島の地元の習慣・儀式により、バリ・ヒンドゥーのお坊さんと村役員立会いの下、バリ・ヒンドゥー教徒として結婚式を挙げました。
このように、インドネシアでは宗教的生活が非常に重要です。
私が一番苦労したのは、バリ島での日々の宗教生活でした。バリ島はインドネシアの中で唯一、バリ・ヒンドゥー教を信仰する島で、各家庭には必ずお寺があり、日々をその祭祀に費やしている島です。そのお供え物と儀礼の数は膨大で、本家インドのヒンドゥー教徒もびっくりなくらい、お供え物と儀礼の準備に忙殺されます。
それは、ひとえに、家の中にお寺があるから、なのですが、バリ島のバリ人は、日本式に例えるならば、全戸が住職の居るお寺さん、と言えるでしょう。
もちろん、家寺だけではなく、村にある三つのお寺、田んぼのお寺、その他もろもろのお寺の儀礼もあるし、もっと大きな、地域で持っているお寺もあるし、親戚の家のお寺もあるし、とにかく一年中、毎日どこかで何かしらの宗教儀礼が行われています。
これは、バリ・ヒンドゥー教だけではなく、インドネシアの他の宗教もですが、日常の生活においては、宗教儀礼が最優先されます。宗教儀礼のためのお休みを従業員に与えない会社はありませんし、逆に、宗教儀礼のためには仕事も学校も休むのがインドネシア人です。
ここを分かっておかないと、インドネシアで日本と同じ生活を続けようと思っている人は大変です。
インドネシア語はなんとか生活できるレベルでしたが、バリ人と会話する時は、バリ語ですので、また一からバリ語を覚え、お寺の仕組みや宗教儀礼を覚え、外国で妊娠・出産・子育て、と、バリ島で結婚してからの十年間は、旅行者で滞在していた時とは全く別の、苦労した10年でした。
ですが、その十年を経験して、バリの何が、外国人を、旅行者を惹きつけたのかが良く分かりました。人々の温かさ、忍耐強さ、自然や文化の豊かさ、美しさが、紛れもなくバリ人の宗教をベースとした日常の生活から生まれてきたのだ、と実感できたからです。
インドネシアに住むのと旅行で長期滞在するのとでは、全く違います。
今でもバイクで道を走っていて、「なんて美しい島なんだろう」と景色に見とれることがしょっちゅうあります。
年数を重ねるたび、家族や友人、隣人となったバリ人たちとの交流に心が温かくなる瞬間も多く、心奪われた島に住めることを感謝しています。
投稿者プロフィール
- 大阪生まれ、和歌山育ち。バリ人と結婚後、バリ島に移住。主人の家に嫁に入り、現在2児の母です。バリ・ヒンドゥー教徒として、どっぷりバリ島ウブド村の生活に浸り、お供え物三昧の生活を送っています。自宅内の緑に囲まれた、4部屋のみの小さな宿「PRASANTI」を経営しています。