山下千朝(やました ちさ)さんってこんな人
1986年生まれ、和歌山県紀の川市貴志川町出身。
首都大学東京(現:東京都立大学)教育学修士。
公益財団法人での職務経験を経て、スリランカへ。
「オーガニック&エコツーリズム」ビジネスコーディネーター・PRとして現地法人にて3年間勤務。
その傍ら、浄土宗僧侶としても「地域や社会と協働する仏教・寺院」をテーマに活動。
2019年よりAmrita株式会社を起業。現在代表取締役として、「仏教・教育・食」にフォーカスした事業を
スリランカ・インド・ミャンマー・タイなどのアジア圏をフィールドに行っている。
教育学の修士を取得しながら、スリランカでの就業経験を持ち、さらに和歌山にUターンし起業(Amrita株式会社)という異色の経歴を持つ山下さん。ご実家がお寺であったことから、浄土宗僧侶としての活動もされているとのこと。
どんなきっかけ、想いがあって、彼女の人生が描かれてきたのかに興味を持ち、山下さんの経営されているカフェ、and, Amrita(紀美野町)に足を運び、お話を聞いてみることにしました。
仏教を背景に、社会や教育を見つめた学生時代だった
--スリランカから帰ってきて、和歌山で起業。そんな山下さんの思考や行動がどういうところからやってきているのか、ぜひお話をお聞きしてみたいと思いました。本日は、よろしくお願いします。
子どもの頃から、浄土宗のお寺の長女として生まれ育ちました。
周りに大人が多い環境で育ち、学校でも、小中高と学級委員として活動するなど、一般的には「しっかりしている子」という印象を抱かれていたと思います。
でも、あまり同級生の子たちとは馴染めなかったり、みんなと同じ行動をすることが苦手だったり、学校のあり方に疑問を抱いていた青年期を過ごしていましたね。
あと、これは結構、独特な悩みですが、高校生くらいの頃は、進路などを考えるうえで、「わたしは、本当にこのまま浄土宗を信仰していくのだろうか?仏教徒として生きていくのだろうか?」という疑問を抱いていました。
--学校になかなか馴染めないこと、仏教徒としての歩み、それこそ同級生にはなかなか理解してもらい辛い悩みですね。
こうしたバックグラウンドを持っていたので、「教育や社会というものを斜めから見たいな」と考えるようになっていたんです。
幼少期からのモヤモヤした気持ち、社会への疑問、それらが可視化されたのが、大学1年生の時に受けた教育学の授業でした。学校教育の中でうまくいかなかったという経験がパチリと重なったんですよ。
学びを重ねるなかで、自分の経験と重なった部分もあって、学校の外で溢れた子たちの受け皿になっている場所に興味がありました。それが、社会教育という分野に近いということで、「学校の場以外での教育活動に宗教がどう関わってくるか」ということを研究テーマにしていました。
研究に加えて、学生の頃に、お寺が主催する小中学生向けのサマーキャンプのボランティアなどに参加していたことで、自然と、仏教、教育、自分のアイデンティティがリンクしていっていたように感じます。
「支援すること」が本当によいことなのかと悩んだ新卒時代
--大学院を出て、財団で働かれていたとのことですが、どういうことをされていたんですか?
新卒で就職した職場では、インドの子ども達の教育支援を担当していました。その後、別の仏教系の公益法人では、ミャンマーの学校建設支援などに取り組んでいました。
--いきなり海外に出たわけではなく、まずは日本の企業に就職されたんですね。
はい。しかしながら、就職してから4−5年、なんのために働いてるのかを考ることが多くありました。卒業後、自然な流れで、やりがいもあったのですが、アジアの人たちとの支援関係を考えると、日本は学校を建てるけど、本当に現地の人のためになっているのか疑問が拭えませんでした。
現地の人たちも、日本がなんとかしてくれるといった、ある種支援慣れしてしまう現状があったので、どうしたものかと悩んでいました。
「現地の側から日本を見たい」。そう思い立ち、日本の企業にいては見ることができない方向から社会を見てみようと考えていました。
--日本にいると、なかなか現地の声も聞き辛いですよね。
また、当時、どうやって、仏教というものを人生に織り成していくいのかということも悩んでいました。
仏教に縁のある国として、タイ、スリランカ、ミャンマーなどが候補にあったのですが、その時、たまたまスリランカの現地NGOであるセワランカ財団の会長さんと知り合い、あれよあれよという間に転職することが決まりました。
スリランカに赴任するも……
--そういう理由で、スリランカに縁ができたんですね。
はい、そこから、スリランカに渡航するのですが、最果ての地のような場所での生活が始まります(笑)
いざ、コロンボに着いたと思ったら、とりあえずホテルに泊まっておいてとだけ言い残され、どこで何をするのかも伝えられないまま、朝が来ました。
結果、アヌラーダプラ県ラージャンガナヤという地域に赴任することになったのですが、飲み水の確保すらままならない、トイレも十分に整っていない、そんな場所での研修が始まりました……。
今回の記事はここまで!
様々な考えを巡らせながら、社会との関わり合いを模索する山下さん。
現在、和歌山県紀美野町でオーガニック・フェアトレードの事業を通じて、社会の課題解決に挑戦するまでの道のりの前半戦をお届けしました。
次回は、現地で感じたことや、現在の事業につながる想いをお聞きしていきます。
山下千朝(やました ちさ)さんってこんな人
1986年生まれ、和歌山県紀の川市貴志川町出身。
首都大学東京(現:東京都立大学)教育学修士。
公益財団法人での職務経験を経て、スリランカへ。
「オーガニック&エコツーリズム」ビジネスコーディネーター・PRとして現地法人にて3年間勤務。
その傍ら、浄土宗僧侶としても「地域や社会と協働する仏教・寺院」をテーマに活動。
2019年よりAmrita株式会社を起業。現在代表取締役として、「仏教・教育・食」にフォーカスした事業を
スリランカ・インド・ミャンマー・タイなどのアジア圏をフィールドに行っている。
オンラインショップ:https://amritazl.com/
投稿者プロフィール
- 京都府宇治市生まれ、和歌山県紀の川市出身。和歌山大学観光学部在学中。わっと!編集者兼ライター。インターン経験やプロジェクトを経て、学生生活の傍ら、フリーの編集者として活動する。シーシャが好き。積読家。
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