ズンさん、ヒエンさん、ジャンさんってこんな人
和歌山市鳴神にある中谷病院で働くベトナム出身の技能実習生。介護職などの技能を習得するために2020年1月に来日。
今回は和歌山市鳴神にある中谷病院様にお話を伺いました。中谷病院様は介護の分野で2020年1月からベトナムの方々を技能実習生として受け入れています。今回は中谷病院様の技能実習生に関する取り組みとベトナム人の方々に実際に和歌山での働くことや暮らしについて伺いました。
中谷病院様については事務次長の市川様と看護部長の西山様から、生活については実習生から直接お伺いしています。
中谷病院について
ーーよろしくお願いします!まずは中谷病院様の概要を教えてください。
中谷病院は昭和37年に設立されました。当初は急性期病院として始めましたが、現在は日赤さんや和歌山県立医科大学さんなどの急性期病院での治療を終えられた患者さんの継続した治療や、自宅に帰られてからのリハビリなどのサポートなどを主にしている病院となります。
技能実習生について
ーー技能実習生を採用をした経緯は?
他の職種もそうだと思いますが、病院や施設などは労働集約型の産業で、人でがいないと成り立たない産業です。特に介護分野は定期的に安定した人材が必要ですが、日本国内に目を向けてもなかなか応募がないというのが実情です。もちろん国内でも継続して募集していきますが、別の柱として技能実習にも目を向け、現在三名を採用したという経緯となります。
ーー採用までに苦労したことはありますか?
実は現在採用している彼女たちを送り出してくれている現地送り出し機関様の前に、現地にて視察と面接などを行いました。ただその時は日本とベトナム両国間においてルールがしっかりと定まっていなかったので、実際に会い、面接までこぎつけた送り出し機関様が国の認定を取れておらず、当時採用した子たちは日本に来ることができませんでした。
その際に、国内の別の組合の方から正式に認定を受けている送り出し機関様をご紹介いただき、無事に現在来ていただいている彼女たちを採用することができました。以前の訪問である程度ベトナムのことも理解していたこともあり、彼女たちは現地ではなくweb面談などでスムーズに決めることができましたが、受入企業として提出する必要のある実習計画など必要書類が多くて大変でしたね。
採用をしてみて
ーー採用してみて良かった面・苦労した面
当初は日本語が一番のネックでした。一人一人指導員として担当をつけているのですが、ベトナム人の気質なのか、彼女たちは理解をしていなくても「わかりました!」と返事してしまうことがあります。指導員の担当者も理解してくれたものだと思って、そのまま仕事をしていると実際には理解していなかったことがあるなど、指導の仕方では苦労しています。
ただ笑顔もやる気もすごいので、ほかのスタッフ以上に挨拶をきちんとするなど職場に活気が出たように思います。また施設の患者さんたちは高齢者の方が多く、彼女たちが親元を離れ日本に来て勉強しているという境遇も知っているので、患者さんにとってもかわいい孫ができたように思ってくれているようで、職場にとっても良い効果が出ていると感じます。
ーー実習生の生活面で援助していることは
病院の近くに寮を借り、自転車を提供しています。自転車で行くことができる範囲のスーパーなどを一緒に回り、地域の案内などを行いました。また日本語の勉強のためにこちらからプリントなど資料を用意しています。最近日本語能力検定3級(N-3)を受けました。自信がないと言っていますが、最初来た頃から比べると本当に上達したと思います!
ーー技能実習生などを検討している企業様に向けて
明らかに日本国内の新入職の方がどんどん減ってきていますので、業種にかかわらず今後技能実習生の方が助けが必要になってくる場面が増えてくるのではないかと思います。また市内にベトナムの方がどんどん増えれば、彼女たちも友達ができたり、相談もしやすいでしょうし、地域として相乗効果が出ると思いますので、今後どんどん増えていって欲しいなと思います。
技能実習生に質問してみました
ーーお待たせいたしました。それでは次は実際に技能実習生の方にお話を伺いたいと思います。まずは自己紹介をお願いします。
ズンさん(写真右)
初めまして。私は、レー ティ ズン(LE THI DUNG)と申します。ベトナムの首都ハノイから来ました。よろしくお願いいたします。
ヒエンさん(写真真ん中)
私は、ドー ティ ヒエン(DO THI HIEN)です。ベトナムのNAM DINHという中部から来ました。
ジャンさん(写真左)
私は、ホアン ティ ジャン(HOANG THI GIANG)と申します。DAK LAKというベトナム南部から来ました。
日本で働いてみて
ーー日本で働いてみていかがですか?
ジャンさん
中谷病院の先輩たち皆さんが手伝ってくれて、おしゃべりもしてくれて、とても楽しく仕事ができます。また患者さんもとても優しいので嬉しいです!
でも日本語がまだ難しいので、理解できないことも多く、日々勉強しなければと思います。
--ベトナムでも介護の仕事をしていたのですか?
ズンさん
ベトナムでは看護の仕事をしています。というよりも介護職というものはまだベトナムではほとんどありません。基本的には家族が面倒を見ているものという認識ですね。実際にここで介護の仕事をしてみると、私が普段していた看護の仕事とやることはほとんど同じで自分でそんなに大きな違いはなく、お仕事をすることができています。
和歌山での生活について
--和歌山での生活について教えてください
ヒエンさん
ベトナムにいる頃に和歌山と聞いて、最初は知りませんでしたが、いざ住んでみると、とても住みやすいと思います。寮からも自転車で行くことのできる範囲にスーパーもあり、不自由もしていませんよ。
ズンさん
朝6時に起きてお弁当を作って、8時に職場に行き、夕方5時半まで仕事をします。帰った後は晩ご飯を作り、自由時間を勉強をしたりして過ごします。仕事はシフト制で週休2日でお休みをいただいています。
ジャンさん
休みの日は、日本語を勉強をしたり、近くの公園に遊びに行ったりします。先日三人でベトナムの伝統衣装であるアオザイを着て、和歌山城に遊びに行きました!また日本の歌も好きなので、童謡のふるさと、テレサテンのつぐないなどを聴いています。
--和歌山で生活をする上で大変だなと思うことはありますか?
ヒエンさん
ベトナム料理と日本の食べ物と味が違うので、最初は戸惑いました。最初は日本料理が食べれなかったですが、最近やっと食べられるようになりました。たこ焼き、お寿司、エビの天ぷらなどがとてもおいしいと思います。基本はスーパーで自分たちで食材を買ってベトナム料理を自分たちで作っています。ベトナム料理に必要な赤唐辛子など香辛料を一部寮の庭で育てています。
また、私はベトナムに子どもが二人いますので、最初少し寂しかったです。またいただいた給料をベトナムに送金するのですが、送金手数料もかかってしまうことも大変です。
最後に
--今後やってみたいことはありますか?
ズンさん
残り二年をしっかりと技能実習生として働き抜いて、ベトナムに帰国して、改めて中谷病院さんで働いてみたいと考えています。施設の人は親切だし、とても働きやすいですし、また戻りたいです!
ジャンさん
あと二年のうちにもっともっと日本が上達できるように勉強したいと思います。
ヒエンさん
帰国後の話になるのですが、ここで学んだことを活かしてベトナムに介護施設を作りたいです。まだまだ施設は少ないですが、今後必要になってくると思います。なのでこの日本にいるうちにもっと介護施設についてしっかりと学んで帰国したいと思っています。
■今回は中谷病院さんのベトナムから来た技能実習生三名の方にインタビューをさせていただきました!和歌山でも多くの企業様、団体様で人手不足となっており、技能実習生や直接雇用による外国人の働き手が増えています。今後もそうした取り組みなどをご紹介させていただきたいと思います!
ズンさん、ヒエンさん、ジャンさんってこんな人
和歌山市鳴神にある中谷病院で働くベトナム出身の技能実習生。介護職などの技能を習得するために2020年1月に来日。
投稿者プロフィール
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和歌山ASEAN情報局 -わっと!- 編集長
和歌山県海南市出身。ミャンマー・ヤンゴンに駐在歴あり。
和歌山の人にもっとASEANを、ASEANの人にもっと和歌山を身近にするための情報サイトを作りたいと、この「わっと!」を立ち上げる。
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